2011/08/28

外部データセンターへのサーバー移設 -その5-

はじめに、この内容は2010年7月頃の出来事です。
2011年8月現在では、状況や社会基盤事情も異なりますが、同様の作業をご検討されている担当者様の参考になれば幸いです。
なお本文では、データセンターのコロケーション(ハウジング)サービスを対象とします。
------
その1 > その2 > その3 > その4

長い前置きでしたが、ここからは実作業です。

サーバーラックへの取付け作業の情報は、もっと詳しく紹介されたWebサイトやメーカーから用意されたマニュアルが大変参考になります。(「本編なのに省くのか?」とは言わないで…)

こちらでは、自分なりに気付いた点を挙げます。

----------------------------
■サーバーの移動方法
----------------------------
サーバー、ネットワーク機器の移動ですが、宅配便、軽貨物業者様(赤帽さんなど)へ委託、レンタカーでの自走、が挙げられます。

宅配便へお願いする場合はコストが安く済み、移送中の破損リスクが少ないのですが、データセンター側で受け入れてもらえる時間帯に制限があります。

また機器の台数が多いと梱包が大変ですし、機器を取り出した箱の返送方法や処分を考慮しなければいけません。こちらは、少量の機器の移設や撤去に向いている手段ですね。

上記により、レンタカーによる移動+機器持込みを選択しました。

レンタカーならばデータセンターの駐車場に停める事ができますし、作業時間に制約を受ける事がありません。
大抵が休日や深夜の作業になりますし、予想外の事態に柔軟な対応が可能です。あと、機器の梱包に自由度が増します。
(事故には充分ご注意下さい)

----------------------------
■作業要員
----------------------------
移設・サーバー取付け作業時の要員確保は、本当に重要です。

私の場合、自部門に対応可能な人員がいなかったため、話を聞きつけて「滅多にないから」と快く手を挙げてくれた開発エンジニアさんがいたのですが、自部門の管理サイドより自社作業へ実動部隊の要員を回せないとの事で却下されました。(人件費の発生・原価振替えの煩雑さ)

この時、しつこく抵抗しておけば良かったと、後で後悔しています。

1Uサーバーでも15kgくらいありますし、自分の背丈以上の位置へ取り付ける事も少なくありません。また、サーバーラックの取付けは断然、複数名の方が楽で安全です。

実際に、この時の作業で自社内のサーバーラックから35kgほどのストレージアレイ機器を取り外す時に自分の胸の高さから引き出しましたが、「落としたら、どうしよう」と今までの作業で経験した事のない恐怖を感じました。

高価な機器である事と保存データの重要性、さらに足へ直撃したら場所によっては骨折します。ましてや、この時の作業は休日の早朝で私以外の社員は誰もいません。
携帯電話を肌身離さず持っていたとは言え、万が一の事態で電話ができるかどうか?

この他にもデータセンターでのトレイ取付けに手間取るなど、2人以上ならば早く安全に可能な作業を1人で実施するメリットが全く無い事を実感しました。

フルタイムで無くても良いので、移設・取付け作業時だけは要員を確保しないと機器の破損・作業遅延のリスクが高まります。

----------------------------
■アクセスポイント変更の影響
----------------------------
今回の作業では、自社サーバー室で機能していたインターネットや拠点間ネットワークのHUB機能を可用性向上の目的でデータセンターへ移設しました。
なおHUB機能とは、HUBが車輪の中心を意味する言葉から路線・機関が集中する交通拠点を指すように機能が集中する役割を表現します。

ネットワーク設計の思想にもよりますが、当社ではインターネットや拠点間ネットワークのセキュリティ・管理の一元化のため、出口を一拠点に集約しています。
トラフィック(情報量)の集中や拠点・通信プロトコルによってはWAN(Wide Area Network)の遅延を大きく受けるなどのデメリットがありますが、管理面でのメリットは大きいです。

そのネットワークのHUB機能を移設する際に危うく見落としそうになったのが、アクセスポイント変更に伴う影響です。

ここでの「アクセスポイント」は、ISP(Internet Service Provider)のインターネットへの接続拠点を指します。
過去では、ダイアルアップ接続サービスの電話番号をそう呼んでいましたが、ブロードバンド時代の今でも同じ意味で呼ぶ人は多いです。

このアクセスポイントの変更によって考慮しなければいけないのは、ISPから割当てられたグローバル固定IPアドレスが変更される可能性がある事です。
自社でネットワークを運用している大半の企業が、固定IPアドレスサービスを利用しているかと思います。それらは、ゲートウェイとなるルータやDNSサーバー、メールサーバーなどへ設定しています。

これらを変更すると各機器の設定変更も手間ですが、取引きや保守などで、社外のVPN(Virtual Private Network)利用や固定IPアドレスで通過許可を登録している場合は、先方へ再度登録申請を行う必要があります。(=手間と時間がさらに必要となる)

幸いな事に、今回は固定IPアドレスが変更されること無くアクセスポイントの移設が可能でしたので、作業への支障は ほとんどありませんでした。

同様の作業をご検討されている方々は、ご契約のISP様へ切替えのタイミングも合わせてご確認を行って下さい。

つづく…

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/07/19

外部データセンターへのサーバー移設 -その4-

はじめに、この内容は2010年7月頃の出来事です。
2011年7月現在では、状況や社会基盤事情も異なりますが、同様の作業をご検討されている担当者様のご参考になれば幸いです。
なお本文では、データセンターのコロケーション(ハウジング)サービスを対象とします。
------
その1 > その2 > その3 > その4

前回の「どこへ設置するか?」は、初期段階や移設作業・追加作業などのデータセンター料金でスポット的なコストに当たります。

次の「なにを(どのサーバーを)移設するか?」は、定額的な月額コストに影響します。
当然ですが、お金に糸目をつけないならば「全てのサーバー!!」ですが、お金は有限です。
ましてや、社内業務サーバー(システム)をデータセンターに預ける事はコストだけで利益を生みませんので、日常的に理解とありがたみを感じるのはシステム管理担当者だけでしょう。
(非常時は全員ありがたみを感じてくれますが、次第に当たり前と思うようになります)

となると、優先順位を充分に検討する必要があります。
但し、データセンターにも料金体系に沿った許容範囲があり、その中に収まる機材を選択しなければなりません。

データセンター…、ここではコロケーションサービスですが、その利用料金を決定付けるのは、サーバー・ネットワーク機器の消費電力量、重量、大きさ(U数、ユニット)です。

■消費電力量
サーバーやネットワーク機器の消費電力量です。カタログの仕様欄(スペック表)に消費電力として[W](ワット)の単位で記載されています。使用する値は、システム最大の消費電力量です。
もし記載されていない場合は、同構成の他社製品の仕様を参考にして下さい。

これらの[W]数を合計してから、契約するVA(ボルトアンペア)を算出します。

大抵のデータセンターでは、2KVA(200VA)から始まり3KVAや4KVAの契約電力量に沿った電源回路が用意されています。この各段階の範囲内で収まるかどうかは大変重要です。

例えば42Uラック構成で申し込んでも、大量の電力が必要なブレードサーバーやハイエンドサーバー数台しか収容できず、あとはスカスカなスペースだった…と言う事態が発生します。

私が参考にした推測式は、次の通りです。
 ・必要VA=機器の合計電力[W]÷力率
ここでの力率は、簡単に説明すると交流電力の有効割合であり、コンピュータ機器は 0.6〜0.8とされています。

但し、仮に4KVAの契約で利用したとしても、フルに4KVAを利用できる事はありません。70〜80パーセントの余裕を持たせるようにデータセンター事業者より申し入れがあります。
なぜなら、契約VA=電源回路の最大値を上回ると電力供給に不具合が発生し、収容サーバーラック内の電源ダウンを引き起こす可能性があります。

また4KVAの契約としても「100V20A」×2の電源回路構成であったり、データセンター側で用意された基本VAを超える場合は、追加電源工事が発生する(=コストが上昇する)事が大半です。
これらの電源供給能力・仕様と運用ルールはデータセンター事業者によって異なりますので、必ず…いや「絶対」に確認して下さい。
電源が無ければネットワーク機器・サーバーは動かないので、自分では些細と思う事でも納得できるまで確認を行いましょう。

■重量
サーバーラックには積載可能重量が設けられています。
こちらも各サーバーやネットワーク機器のカタログ仕様欄に記載されていますので、収容機器の合計重量を算出します。

同機種サーバーでも内蔵パーツ・オプションパーツの構成によって、重量が異なります。特にハードディスクと電源装置の搭載数は、影響が大きいです。

また、サーバーラックへの収容機器は「重いものから下へ」が原則です。

■大きさ(U数、ユニット)
多くのデータセンターのサーバーラックは、通称 19インチラックと呼ばれるEIA(Electronic Industries Alliance)の規格に沿った製品が採用されています。

この規格は、横幅が19インチ(482.6mm)、高さがU(ユニット)と呼ばれる単位で1Uが1.75インチ(44.45mm)です。奥行きについては規定されていません。
(なので、奥行きが狭いサーバーラックでは各種ケーブルの配線に無理が生じる事もあり、サーバー機器が収まらないという最悪な事も…)

ラックマウント型と呼ばれるネットワーク機器、サーバーは上記のサイズに沿って作成されています。機器の筐体(きょうたい)については、横幅が19インチに固定されていますが、高さ=U数については制約がありません。サーバー機器もU数が多いほど、ハードディスクやメモリ、CPUが物理的に多く搭載可能なためハイパフォーマンスな製品になります。その分、重たく、サーバーラックのU数を消費してゆきます。

機器のU数については、1Uサーバーならば1U、2Uサーバーならば2Uの値を使用して良く、ネットワーク機器でも1Uサイズとカタログに記載されていれば、1Uと思って良いでしょう。
注意する必要があるのは、ラックマウント型でない機器…、タワー型サーバーやONU(光回線終端装置)などの小型ネットワーク機器です。

これらは、サーバーラックのオプションである「トレイ」に載せて耐震ベルトで固定する必要がありますが、高さ、幅を実寸して消費するU数を算出して下さい(あとラックに収まるか)。タワー型サーバーには、サーバーベンダーでラックマウント変換キットを用意している事もありますので、こちらを利用する方法もあります。

また、トレイだけで1Uを消費する製品もあったり、トレイの使用枚数によっては追加料金が発生する事もありますので、利用検討しているデータセンター事業者へ確認して下さい。

データセンターで用意されるサーバーラックの最大U数は、大半が42Uだと思います。また、その1/2、1/4のU数で貸し出すサービスも用意されています。
但し、配線や空調設備の関係で、最上部もしくは最下部は何U数か使用できないルールもあります。こちらもデータセンター事業者へ確認して下さい。

上記の各項目(消費電力量、重量、U数)について、データセンター事業者へMicrosoft Excelなどの表計算ソフトなどにリスト化・合計して提出すると、適した契約プランを提示してくれます。

つづく…

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/07/12

外部データセンターへのサーバー移設 -その3-

はじめに、この内容は2010年7月頃の出来事です。
2011年7月現在では、状況や社会基盤事情も異なりますが、同様の作業をご検討されている担当者様のご参考になれば幸いです。
なお本文では、データセンターのコロケーション(ハウジング)サービスを対象とします。
------
その1 > その2 > その3

2009年8月11日に発生した駿河湾沖地震の影響で、外部データセンターへのサーバー移設に向けて大きく前進しましたが、課題は山積みです。

特に大きな問題は、「どこへ設置するか?」、「なにを(どのサーバーを)移設するか?」です。この2つは費用面に大きく影響します。

「どこへ設置するか?」は、データセンターの所在地と運用方法の兼ね合いです。
ハードウェアとネットワーク、それとOSまでの運用を「全て外部委託」できる場合は、どこのデータセンターでも構いません。言語をクリアできれば、海外でも大丈夫です。但し、委託費用が高額になります。
最近では、用意された機能メニュ−と一致すれば 料金面で優位なクラウドサービスを利用する選択肢もあります。

一部でも上記に該当しない場合…、具体的にはトラブル時の最終手段に(自社の)運用メンバーが機器へ直接操作・確認する必要がある場合は、運用メインサイトから駆けつける距離・手段を考慮する必要があります。

例えば、遠隔でサーバーの再起動を行った際にPOSTで停止してしまった場合やルータ再起動でネットワークがダウンしてしまった場合などです。
(POST:Power On Self Test、BIOSの電源導入時チェック)

上記のトラブルは、電源スイッチのON/OFFやキーボードの1つのキーを押すだけで解決する可能性がありますが、これらはどうしても物理的に操作する必要があります。
そのためだけに飛行機に乗ったり、新幹線を乗り継ぐ事は避けたいですね。時間・コストの面からも…

キーボード、マウスなどを操作するKVMスイッチの中には、ネットワーク経由でBIOSレベルから操作できる製品もありますが、にしても高い。(もちろん購入を目論んでいたが、予算の壁であえなく断念)

大抵のデータセンターでは、LEDチェックやトラブル時の一次対応のマニュアルを準備すると追加料金で対応してもらえます。
だけど、この追加料金が考えものです。データセンターの方針によってですが、中には「時価」に相当する料金体系もあり良く確認する必要があります。

なのでデータセンターの選択には、運用体系と距離は密接に関係します。実際に私の会社でも、[1]運用メインサイトから近い静岡県内、[2]営業戦略的な観点から本州から離れたデータセンター、[3]首都圏内、と各候補が挙がりましたが、現状の運用面から[1]の静岡県内のデータセンターに確定しました。

ただ「あっさり」と決まった訳ではありません。[2]では遠いが業務提携的なコストメリットで一部運用を委託可能、など優位な条件があり 社内でも難航しました。
最終的には、運用メインサイトとの距離、最新設備(将来的な拡張性)、料金面の合わせ技で、やっと社内的な了承を取り付ける事ができました。
それだけ経営側では、しっかりITインフラが稼動できれば、「運用スタッフを変更しようが」、「どこにデータセンターがあろうが」構わない思想があると言う事です。
(これはこれでクラウドサービス導入にとって、ありがたい環境ですが…)

なお、通常 データセンターはセキュリティの観点から詳細な住所を公表していません。機密情報や高価な情報を入手したい場合は、外部侵入よりも「関係者を追跡」→「強行的に押し入る」の方がリスクが高くても確実ですからね。

つづく…

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«富士山発元気祭り